過去の民法では、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分の2分の1とする規定がありました。しかし、平成25年9月4日付の最高裁の決定によりその民法の規定が違憲である判断がなされ、その規定が撤廃されております。
ただし、平成13年6月よりも前の遺産相続には最高裁判決の効力は及ばず、平成13年7月から平成25年9月4日までの間にされた遺産分割協議(または遺産分割調停の確定)にも効力は及びません。
認知とは
嫡出子と非嫡出子の相続分について説明をする前に、『認知』の制度について説明をしておきます。
認知(にんち)とは、嫡出ではない子(非嫡出子)と父親との間に、法律上の親子関係を確認するための手続きです。母親は、出産した事実があるため親子関係が明らかですが、父親の場合は、認知の手続きをとることで、戸籍上の親子関係を明らかにします。
なお、夫婦が婚姻関係にある場合には、夫がその子供の父親であることが推定されますので、認知の手続きを行う必要はありません。
ちなみに、認知は、①届出による認知、②遺言による認知、③裁判による認知、この3つの手続き方法が用意されています。
嫡出子と非嫡出子
嫡出子と非嫡出子の意味についても触れておきます。
嫡出子(ちゃくしゅつし)とは、民法772条に定められた条件に該当する子供のことをいいます。
民法第772条(嫡出の推定)
1.妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2.婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
条文を読み解くと、「夫婦が婚姻関係中に生まれた子」は父親の嫡出子であると推定されます。そして、「婚姻後201日目以降に生まれた子」と「婚姻関係解消後300日以内に生まれた子」も父親の嫡出子であると推定されます。
非嫡出子(ひちゃくしゅつし)は、上記の条件に該当しない子のことを言いますので、婚姻関係にない男女の間に生まれた子や民法772条2項の期間以外に生まれた子は非嫡出子です。
嫡出子と非嫡出子の相続分格差について
旧民法第900条4号但し書きには、非嫡出子の法定相続分は嫡出子の半分である旨の規定がありました。しかし、このような非嫡出子と嫡出子の法定相続分の区別は憲法14条の平等原則に反しているのではないかという議論がなされていました。
同じ子供でありながら非嫡出子を嫡出子よりも不利益に扱う合理的な理由がないということで憲法の法の下の平等に違反するという考え方です。
平成25年9月4日最高裁決定の違憲判断
最高裁は、非嫡出子の相続分を嫡出子の半分とする旧民法900条4号但し書きの規定は、遅くとも平成13年当時には憲法14条1項の法の下の平等に反して違憲であると判示しました。この判決を受けてその民法の規定は撤廃されることとなりました。
民法第900条
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は次の各号の定めるところによる。
1.子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各2分の1とする。
2.配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、3分の2とし、直系尊属の相続分は、3分の1とする。
3.配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、4分の3とし、兄弟姉妹の相続分は、4分の1とする。
4.子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。
民法900条4項の下線部分が削除されましたので、現在の条文は「4.子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1とする。」と変更されています。
この条文の改正によって、嫡出子と非嫡出子の相続分は、平等の取り扱いに変更されました。
